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[散歩エッセイ]:「カラー版 - 東京いい道、しぶい道」

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 泉 麻人さんの「カラー版 - 東京いい道、しぶい道」(中公新書ラクレ)を読了。

 江戸から東京までの街の移り変わりを、その時代の流行や世相とともに解説していくのは著者の得意とするところだろう。かなり前にテレビ東京の「アド街ック天国」で“街の達人”として出演していたが、紹介する街の特徴をつかんでうまく説明していた。著者は東京生まれの東京育ちで地方出身の自分とは違うけど、割合と近い世代なので同じように小学生から中学生として過ごした(今ではレトロになった)昭和40年代ごろを紹介した著作には共感を覚えることが多い。

 本書は地図好きで散歩愛好家である著者が、地図を眺め道の曲がり具合や気になる名前の通りなどに注目し、実際に東京都内(おもに23区)の散歩道を歩いたエッセイだ。同じような著者の作品では「大東京23区散歩」(講談社文庫)という文庫本で650ページを超える厚さの読本があるが、本書は城北、城東、城南、城西、多摩の5つのエリアに分け、著者自身が撮影したスナップ写真を収録することで、ガイド風な体裁になっている。もちろん読んでみて自分も行ってみたくなる魅力的な散歩道がいくつもある。

 今はグーグルマップのストリートビューで街の雰囲気はわかるしネットでの情報も豊富だ。だから実際に行かなくてもその街を訪れた気分になれる。もちろん画面ではなく実際に足を運びその街の独特の空気にふれながら歩くのが楽しい。スマホがあれば迷うことなくネットの情報を得ながら散歩できる。一方で昔のように地図も持たず自分の方向感覚だけで彷徨い歩き、思いがけない発見するというのが街歩き・散歩の真髄ではないかと思ったりする。

 ところで本書では自分の住むエリアが紹介されていた。昨年、著者は自宅前の道を歩いていったようだ。

・「泉 麻人:大東京23区散歩」(2016.7.28)

by kei-u23 | 2017-06-03 15:55 | | Comments(0)