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[鉄道本]川島 令三:「全国鉄道事情大研究 東北・東部篇」

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 川島令三さんの「全国鉄道事情大研究 東北・東部篇」(草思社)を読了。

 タイトルにあるように今巻で紹介されているのは、JR東北本線(黒磯〜盛岡)、JR水郡線、JR磐越東線、福島交通飯坂線、阿武隈急行線、仙台空港鉄道仙台空港線、仙台市地下鉄南北線、仙台市地下鉄東西線、JR仙石線、JR石巻線、JR気仙沼線、JR大船渡線、三陸鉄道南リアス線、JR釜石線、JR山田線、三陸鉄道北リアス線、JR八戸線と、東北本線の黒磯〜盛岡間を軸にしてその東側にある各路線について、概要、沿線風景、車両、ダイヤ、混雑率、将来などを徹底解説している。このなかでJR水郡線と磐越東線は、2017年10月に自分も乗車した線なので、沿線風景は自分の記憶と重ねながら読むことができた。

 取り上げている路線で、太平洋沿岸部を走る八戸線、三陸鉄道北リアス線、山田線、三陸鉄道南リアス線、大船渡線、気仙沼線、仙石線、石巻線などの各線は、2011年の東日本大震災の津波により大きな被害を受けた。なかでも気仙沼線の柳津〜気仙沼、大船渡線の気仙沼〜盛については、被害が大きく復旧するには時間とコストがかかるため、鉄路としての復旧は諦め、被害にあっていない区間の路盤を整備してバス専用道とした。ちなみに、昭和52年12月に開通した気仙沼線の柳津〜本吉間は、宮脇俊三さんの「時刻表2万キロ」では、当時の国鉄全線完乗達成直後に開通した路線だったので、追加の章で取り上げてられていた。まさか宮脇さんもせっかく開通した鉄路がバス専用道路に変わろうとは思わなかっただろう。

 復旧工事が進んでいた山田線は、本書が出版された後の2017年11月5日に不通区間の上米内〜川内間が復旧し、盛岡〜宮古間の運転が再開された。時刻表でも快速「リアス」の復活が確認できる。残る宮古〜釜石間は2018年度末(2019年3月)までの運転再開が予定されていて、復旧後は岩手県の第3セクター・三陸鉄道に経営移管されることになっている。北リアス線と南リアス線と一体化した路線名は「リアス線」と決められ、久慈〜宮古〜釜石〜盛の約160キロの日本最長の第3セクター鉄道が誕生する。リアス線ではおそらく久慈から盛まで全線を走る観光列車ができると想像するが、津波で壊滅的な被害を受けた地域の復興に貢献してくれそうだ。開通が今から楽しみである。

・「全国鉄道事情大研究 青函篇」(2017.11.23)

by kei-u23 | 2018-01-09 09:03 | | Comments(0)