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[小説]村上春樹:「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編」

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 今年2月(だったかな)に発売になった村上春樹さんの「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編」を読了。熱心な“ハルキスト”はとうの昔に読み終えているのだろうが、こちらはようやく第1部を終えたところ・・。

 村上さんの作品は発売前から話題になり、新作発売直前にはカウントダウンイベントが行われるほどである。本が売れないという厳しい出版状況のなかで、著者の作品はある程度数が見込めるから、出版社の期待度もきっと高いのでしょう。

 村上さんの作品は現実と非現実(に思える)の世界を行き来することが多いが、この作品も同じように展開していく。主人公は主に肖像画を描いている画家。ある日、突然妻から一方的に離婚を言い出される。理由がよくわからないまま、主人公は車で東北、北海道を放浪する。放浪の旅から戻ってきた主人公は大学時代の友人に相談し、かつて知人の父親〜著名な日本画家、雨田具彦〜が住んでいた小田原郊外の高台にある屋敷に住まわせてもらうことになる。

 高台の屋敷に住みながら週に何度か小田原市内の絵画教室で絵を教えるという生活が始まったが、ある日、屋根裏部屋で包装された絵画らしきものを見つける。梱包をといてみると、それは雨田具彦作が描いた「騎士団長殺し」という作品だった。主人公はこの絵に惹き込まれていくが、この絵にはどのような意味があるのか? その後、主人公の周辺には不思議なできごとが続けて起きるようになる。

 自分に肖像画を描くことを依頼してきた、谷向かいの家に住んでいる免色(めんしき)という変わった名前の白髪の男。敷地内の雑木林にあった謎の祠、そこから夜中に聞こえてくる鈴のような音・・。主人公に話を聞いて祠に興味をもった免色は業者に依頼して祠を開けてしまう。そして絵から抜け出してきた(?)“騎士団長”が主人公の前に現れる・・。

 ほかにも雨田具彦の戦前のウィーン留学時代のこと、主人公が描いている一人の男の絵などなど、読者も気になる多くの謎が出て来る。こうした謎が第2部でどうストーリーが展開してつながっていくのか、予想がつきにくい。さて第2部を読み始めよう。


by kei-u23 | 2017-04-20 09:23 | | Comments(0)