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[鉄道本]「旅と鉄道」編集部 編:「時刻表探検 数字に秘められた謎を解く」

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 「時刻表探検 数字に秘められた謎を解く」(「旅と鉄道」編集部 編:天夢人 発行)を読了。

 毎月発行されている「時刻表」について多方面から紹介した一冊。サブタイトルは“数字に秘められた謎を解く”とあるが、内容的には時刻表マニアを唸らせるようなディープなものではなく、写真や図版をたくさん使っていて読みやすくしてあるから、一般の人たちに時刻表の世界の面白さを伝えるのを目的としているのだと思う。

 ミスが許されない時刻表の製作の裏側はさぞかし厳しいだろう。以前読んだ「「時刻表」はこうしてつくられる」(交通新聞社新書)では泊まり込みの校正作業の様子が書かれてあったが、ここでは「JTB時刻表」元編集長の木村嘉男さんが自らが体験した時刻表の編集作業について振り返っている。編集者は人と会うのが大きな仕事だと言うが、時刻表の編集も、まず鉄道会社の担当に顔を覚えてもらうことだそうだ。ちなみに時刻表の腕の見せどころは「割当」といわれる列車の配列で、いかに乗客の流れにそった全体として見やすい時刻表を作るかだそうだ。

 時刻表の歴史ではその生い立ちから現在、そして未来まで取り上げている。電子書籍やアプリなどにより時刻表も部数を減らしているのだろうが、紙の時刻表は残っていくと思う。時刻表の記号も懐かしい。赤帽や電報、鉄道病院の印(アイコン)や、特急や急行にあった食堂車やビュッフェの印は、鉄道が輸送の主役だった頃の時刻表にあったもので、子どもの頃ではあるがそういう時代を過ごせたのは幸福だったのかもしれない。

 面白かったのは時刻表のトリックを使ったミステリー作品について。ちょうどJR東日本の「大人の休日倶楽部」会員向けに配布される冊子に、松本清張さんの作品とそこに登場する列車が紹介されていたが、ここでも時刻表を使ったトリックを説明している。松本清張さんの作品は昭和30年代だが、当時の国鉄と比べて現在のJRはシンプルな運行ダイヤになり長距離列車も少なくなったから、鉄道を使ったトリックは仕掛けにくいのかもしれない。清張作品を読んで当時の鉄道時代を振り返ってみるのもいいだろう。

by kei-u23 | 2018-02-21 09:05 | | Comments(0)