[小説]北方謙三:「チンギス紀(1)火眼」

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 北方謙三さんの「チンギス紀  火眼」(集英社)を読了。大水滸シリーズ完結後の新シリーズは第1巻と第2巻が同時刊行だ。

 “大水滸”三部作最後の「岳飛伝」で、金国総帥の兀朮(うじゅ)は養子の胡土児(ことじ)を梁山泊との決戦前に前線から北辺の地への移動を命じた。兀朮が胡土児を梁山泊との戦いから遠ざけた理由は「岳飛伝」を読んでもらうとして、北に向かった胡土児は蒙古に流れていった。胡土児が蒙古でどうなったか、気になっていた読者は多いと思うけど、とくに触れられずに岳飛伝は完結してしまった。

 著者は岳飛伝の完結前から早くも次の連載のことを考えていたらしい。ウェブでの対談では蒙古に渡った胡土児の子孫たちが・・という話を著者自身もしていたし、大水滸シリーズを読み終えた読者のなかには、蒙古に渡った胡土児のその後の物語とかを期待した人もいたかもしれない。

 こうして始まったシリーズ「チンギス紀」は大水滸時代より後の時代になる。主人公はテムジン、チンギス・カンである。チンギス・カンといえば、ユーラシア大陸に空前のモンゴル帝国を築いた世界史の教科書には必ず登場する人物。この物語はテムジンの父イェスゲイが急死し、ひとつにまとまりかけていたモンゴル族がまたバラバラになった時からスタートする。

 第1巻ではテムジンが属するキャト族のほかに、同じモンゴル族のジャンダラン氏、メルキト族、ダイチウト族の中心人物が登場する。テムジンは彼らすべてと戦っていくのか、それとも手を組むのか。いずれにせよ、テムジンはモンゴル族をどのようにまとめていくのか期待したいところです。それにしても巻頭の地図(中国〜モンゴル〜ロシア)を見ると、モンゴルの草原の広さを認識させられるというものだ。

・「岳飛伝(17)星斗の章」(2016.6.8)

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by kei-u23 | 2018-09-02 09:23 | | Comments(0)