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[本/時代小説]岩室 忍:「信長の軍師 巻の二 風雲編」

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 岩室 忍さんの「信長の軍師 巻の二 風雲編」(祥伝社文庫)を読了。第二巻は吉法師が元服して信長となり尾張の統一、今川義元との桶狭間の戦いまでとなる。

 巻頭の目次の次には「臨済宗妙心寺三五世から六九世までの大住持と関係武将」の関係が整理されている。それをみると、

三五世 太原崇孚(たいげんそうふ)ー 今川義元
三ハ世 希菴玄密(きあんげんみつ)ー 武田信玄
三九世 沢彦宗恩(たくげんそうおん)ー 織田信長
四三世 快川紹喜(かいせんじょうき)ー 斎藤義龍、武田信玄

となっている。つまり戦国時代は妙心寺の高僧同士の戦いともいえそうだ。

 今巻は信長を戦国の乱世を薙ぎ払える人物とみて教育係を勤める沢彦が、自分の足で美濃、駿河、甲斐などを訪れ自分の目で有力勢力の動向を確認する。沢彦は信長に対して直接指示はしない。尾張の間者たちと一緒に陰から信長を大局的に補佐している。信長も沢彦を自分を理解する信用できる人物として一目置いている。

 好奇心の強い信長は沢彦から教えられた鉄砲について知ると、さっそく入手しこれが新兵器になる可能性を自ら認めると、家臣に短期間で大量の鉄砲を集めるように指示する。一方、沢彦が気にしているのは今川義元の動向だ。参謀の太原崇孚により今川、武田、北条の三国同盟が結ばれると、沢彦は義元の西進を食い止めるための策を練る。

 信長が鉄砲に夢中になっているとき、父信秀が死去した。また信長を擁護してくれた最大の理解者、平手政秀を失うなど、信長には辛い事件が置きたが、信長は尾張を統一するのに自分に反抗する敵は兄弟であっても斬ることを決意。いよいよ信長の戦いが始まった。ただし信長が率いる尾張兵は決して強いわけではない。兵農分離という新しい考えを導入する一方で鉄砲の使い方を工夫していく。そして戦力で劣るものの西進してきた今川義元との戦いにのぞむ。

 ところでこの物語には沢彦が京の六条河原から連れてきた朱鷺と翡翠という口も聞けず耳も聞こえない母子が登場している。親子の出自は謎だが、娘の翡翠は鹿島の塚原土佐守(卜伝)のもとで修行し剣士として育っていく。次巻以降、物語にどう関わってくるのか。

・「信長の軍師 巻の一 立志編」(2019.11.16)

by kei-u23 | 2019-11-25 09:23 | | Comments(0)